学校事務職員の独り言

~学校事務職員思い出日記~

*学校事務職員

 今や大学に、「教育支援専門職養成課程 教育ガバナンスコース」なる学校事務職員を目指す学部まであるほどだが、まだまだ「学校事務職員って何やってるの?」と聞かれることが多い。

 誤解を恐れずに簡単に言うと「何でも屋」である。総務・経理・人事・管財のすべてをこなす。これを1人または2人でこなすのである。

 公務員試験受験前の自分の勝手なイメージは、高校みたいに5~6人ほどが事務室で働き、春休み・夏休み・冬休みがある楽な職業だった。が、就職して分かった。ホントに勝手なイメージだった。事務室はなく職員室内に他の職員(教員等)と机を並べての仕事だし、児童生徒と同様の春休みや冬休みはなく、夏休みに至っては、お盆の16日(曜日によっては14日や15日)前後は給料日のため休めない。(ちなみに、自分は30年以上お盆の時期に休みを取ったことはない。)学校によっては、部活にまで参加している。実際、就職1年目に辞めようかと真剣に考えたくらいである。

 現在は、事務室がある学校も増えてきたし、自治体単位で学校閉校日といってお盆期間を強制的に休みにするようになったりで、働き方改革がゆっくり進んでいるようであり、環境は良くなってきていると思う。ただ、1人ないし2人の職場で仕事を一手に引き受けるので、心を病む事務職員も少なくない。強いメンタルが必要なのは今も昔も変わらない。私の神経は神社の賽銭箱のところに鈴と一緒にぶら下がっている綱並みの太さです!という方、是非、受験を検討してください。

学校の未来は君の双肩にかかっている。

*学校給食・・・行事食

 学校に勤めていると、年中行事を忘れていても必ず思い出す。

なぜなら、給食で「行事食」が出るからだ。節分には節分豆、ひな祭りには雛あられ、クリスマスにはチキン(さすがに七面鳥は出ない)といった具合に年中行事にあわせた献立が出る。最近は、日本の伝統行事のほか、ハロウィンやバレンタインデーにもかぼちゃのコロッケやハート形のコロッケ(コロッケばっかりだな)が出る。

 そんなハイカラ行事食がでる反面、自分が子供の頃、卒業や入学などめでたいときに必ずといっていいほど出ていた赤飯やこどもの日のちまきは児童生徒が食べないからとの理由で献立から消えた。

 ハロウィンやバレンタインデーもいいけど、日本の伝統行事をもっと大事にしてほしいなぁと、ハート形のコロッケ1個だけがのった皿を見ながら思った。

*学校給食・・・給食調理員さん

 給食を作るには、栄養士ももちろんだが調理員も重要である。なんと言っても作り手だからだ。給食の最終的な采配は栄養士が振るうのだが、1校に必ず1人栄養士がいるわけではない。月・水はA校、火・木はB校と1人で複数校を受け持つ方式の市町村もあった。つまり、栄養士の最終確認がなく給食が提供されることもあったのである。そのため、摩訶不思議な給食が出たことがあった。

 ある学校では豚肉とキャベツと味噌が渾然一体となっているはずの料理「ホイコーロー」(通称「豚肉とキャベツの味噌炒め」)の豚肉とキャベツそしてその横に味噌が添えられるというホイコーローが出た。これは果たしてホイコーローか、というのはもちろんだが、当時の調理員がホイコーローを知らず、さらに栄養士の勤務日ではなかったという不幸が重なった悲劇であった。

 この話も30年ほど前の話なので、現在、その市町村の栄養士の勤務形態がどうなっているかは知らないし、ホイコーローを知らなくてもネットで簡単に調べることのできる時代だからこんな間抜けなことはないと思う。でも、その新作ホイコーロー、食べてみたかったなぁ。

*学校給食・・・給食予算(センター式の場合)

 センター式でも給食材料費は自校式と同じで、集金された給食費で賄われている。

ただ、食数が多いだけあって、未納金額は自校式の比ではない。給食センター内の切り盛りは大変らしく、ある日「A4の裏紙がなくなりました。余っている学校は給食センターに譲って下さい。」という連絡がきた。コピーや印刷に失敗した紙を裏紙として再利用することは学校でもあるが、その裏紙さえもなくなったとは。相当厳しい生活を余儀なくされているのだなと、センターでなくてよかったと自分の境遇にほっとしたものである。

 繰り返しですが、学校給食を食べる子どものいるご家庭の方々、給食費は滞納せずきちんと払ってくださいね。あなただけが頼りです。

*学校給食・・・給食予算(自校式の場合)

 当たり前だが、自校式の給食材料費は自校で集金した給食費で賄われている。従って、材料費の計算に担当者は頭を悩ませることになる。余らせてもいけないし、足りなくてもいけない。しかし、その年の給食費の集金状況や材料費の単価の値上がりなどで、年度末、ちょっと余裕あり校とかなり厳しい校が出ることがある。かといって、同市町村の学校で献立が違うということはあり得ない。なので、どうするかというと献立を曖昧にしておくのである。

例えば、献立に「ケーキ」となっていると予算余裕あり校では「普通の1個のケーキ」、予算厳しい校では「冷凍切り分けケーキ」と「とりあえずケーキには違いない」いう苦心の技を使っていた。これで1食の給食費は同じだから、事情は分るけど「保護者が知ったら怒るだろうなぁ」と内心思っていた。

ちなみにこれは30年ほど前の話で、今はそんなことはないので、念のため。

 だけど、学校給食を食べる子どものいるご家庭の方々、給食費は滞納せずきちんと払ってくださいね。あなただけが頼りです。

*学校給食・・・揚げパン

今やスーパーマーケットやパン屋でも売られているほど人気な揚げパン。

 自分が子どもの頃はバゲットくらいの大きなコッペパンを揚げたものにシナモン味の砂糖がまぶしてあるのが1本出るのが普通だった。最近は、児童生徒の好みに合わせ、きなこ味やチョコ味の揚げパンがでる。さらに、アレルギーなどで揚げパンが食べれない子どものために、こぶし大の丸いフランスパンが1個と小ぶりの揚げパンが1個の2種類セットで出るときもある。

 しかしこの揚げパン、センター式の学校ではつい最近まで出たことがなかった。なぜなら、手間と時間がかかるため、何千食と作り、配送時間を考慮しなければならないセンター式では作るのが難しかったのである。なので、センター式育ちの知り合いの中には「揚げパン?何それ?」という者もずいぶんいた。それが献立に出るようになったのだ。

栄養士の心意気か給食センターの機械の機能向上のおかげか分らないが、「揚げパン?何それ?」という子どもがいなくなるのはめでたいことである。合掌。

*学校給食・・・自校式とセンター式 その2

 センター式の給食は、自校式に比べて、おかずが大抵1品少ない。

丸く平たい皿の上に、コロッケ1個、餃子が2個だけということが普通にある。自校式はここにほうれん草のおひたしやサラダが当然のように副菜として添えられている。

これもやはり、手間と時間の都合なので、致し方ない。代わりにセンター式は「添加物」と呼ばれる個包装系が多く出る。例えば、一口ゼリーとか牛乳に入れる粉末ジュースみたいなもの(知る人ぞ知る、あのミ〇・メー〇です)とか一口タルトとかふりかけなどなど。

自分は、皿の上にコロッケ1個だけがのっているのを見ると「もっとおかずを!!」と思わず声に出してしまうのだが、おかずよりデザート優位で、添加物の多いセンター給食がお気に入りの同僚もいたので、これはこれでいいのか・・・と思ったりもした。